気づけば、僕が職長をやるのが当たり前になっていた。
親方は現場に来たり来なかったり。
「後はお前がやれ」
その一言で、全部任される。
現場を回すのは、簡単じゃない。
工程を考える。
人を動かす。
ミスが出れば責任は全部こっち。
でも――
給料は変わらなかった。
一番下っ端のまま、
一番責任が重い立場。
今思えば、おかしな話だ。
でも当時は、それが普通だった。
僕の性格は、もともと人の上に立つタイプじゃない。
大人しくて、1人が好きで、静かな方が落ち着く。
人前に出るのは苦手で、あがり症。
誰かがイライラしているだけで、こっちまでしんどくなる。
そんな自分が、
人に指示を出して、
場をまとめて、
空気を読んで、
トラブルを処理していた。
夜9時を過ぎても、1人で作業していることもあった。
残業代は出ない。
それでも、終わらせないといけない。
無理してる自覚はあった。
でも、止め方がわからなかった。
「ちゃんとやらなきゃ」
「迷惑かけたくない」
そんな気持ちだけで動いていた。
気づかないうちに、
自分の性格とは真逆のことを、ずっとやり続けていた。
ある日、妻に言われた。
「性格、変わったね」
その言葉を聞いたとき、
なぜか少し怖くなった。
このまま続けたら、どうなるんだろう。
そんな不安が、どこかにあった。
そして――
その日は、突然やってきた。
👉続きはこちら
【第4話】あの日、体が壊れた


コメント