3年が経った頃、現場で大きな出来事が起きた。
12階建てマンションの8階を施工しているとき、
親方が突然倒れた。
ヘルニアで入院。
復帰の目処は立たない。
「明日からどうなるんだ…」
不安しかなかった。
その日のうちに、一次会社の社長から電話がきた。
「親方しばらく無理みたいだから、誰か職長やってくれないかな?」
僕たちは6人のチーム。
全員ベテランで、僕が一番下っ端だった。
親方クラスが2人。
5歳上の先輩が2人。
でも――
誰もやらなかった。
現場は途中。
止めるわけにはいかない。
でも、引っ張る人もいない。
どうする?
やるなら――自分しかいない。
僕は言った。
「僕がやります。資格もないのに、できるんですか?」
「大丈夫。やりながら取ればいい」
その一言で決まった。
そこから生活は一変した。
平日は現場を仕切る。
指示を出す。
工程を組む。
打ち合わせに出る。
休みの日は資格の勉強。
正直、地獄だった。
下っ端の自分が、ベテランに指示を出す。
言うことを聞いてもらえない。
無視される。
違うことを始められる。
バカにもされた。
打ち合わせでは必ず聞かれる。
「いつ終わるの?」
まだ分からない。
でも答えなきゃいけない。
決めた工程通りに進まない。
それでも責任は全部こっちにくる。
逃げたくなった。
何度も思った。
でも、逃げられなかった。
なんとか最後までやりきった。
12階のマンションは無事に終わった。
でも――
これで終わりじゃなかった。
親方は復帰したけど、
現場を途中で抜けることが増えた。
「後はお前がやれ」
そう言われることが当たり前になっていった。
気づけば、
僕が職長をやるのが普通になっていた。
このとき、20歳。
ここから先、
想像していなかった働き方が始まる。
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【第3話】壊れながら働いていた6年間


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