隣の会社は、もともと顔見知りだった。
同じ現場で仕事をしていたし、雰囲気も悪くなさそうに見えた。
「あれだけ大きい現場に入ってる会社なら、大丈夫だろう」
そう思っていた。
でも――
入ってすぐ、その考えは崩れた。
初日から言われたのは、
「別の会社の手伝いに行ってくれ」
だった。
知り合いは誰もいない。
いきなり、知らない現場に飛ばされた。
それが、1ヶ月以上続いた。
毎日残業。
でも、ふと思って確認した。
「これ、残業代出るんですか?」
会社に電話して聞いてみた。
返ってきた答えは、
「そこはお世話になってる会社だから、付き合ってあげて」
「残業代は出ないよ」
――まじか。
急に、孤独な戦いが始まった。
それでも、なぜか給料は上がっていた。
不思議だった。
残業代は出ないのに、前より高い。
何が正しいのか、わからなくなっていた。
しばらくして、元のグループに合流した。
雰囲気は悪くない。
居心地もそこそこ良かった。
「まあ、いいか」
そう思い始めていた。
でも、また現実を突きつけられる。
新人が入ってきた。
真面目で、経験はないけどやる気がある。
いいやつだった。
しばらくして、その新人が言った。
「子供ができました」
まだ20歳。
この仕事だけで生活できる状況じゃないのは、見ていてわかった。
その新人は、仕事が終わった後にバイトを始めた。
無理をしていた。
案の定、どんどん体調を崩していった。
仕事も、バイトも、うまくいかなくなっていった。
そして、ある日来なくなった。
理由は――
うつ病だった。
またかよ。
正直、そう思った。
こんなに続くものなのか。
信じられなかった。
さらに数ヶ月後。
一緒に働いていたおじいちゃんが、機械で手を切った。
人差し指の付け根。
かなり深かった。
筋も切れていて、指は動かなかった。
すぐに社長に連絡して、
「救急車呼んでください」
そう伝えた。
でも、来ない。
30分経っても、来ない。
1時間経っても、来ない。
おかしいと思って確認すると、
「上の指示を待っていた」
と言われた。
結局、社長の車で病院に向かった。
その後どうなったのかは、わからない。
信じられなかった。
目の前で苦しんでる人がいるのに、すぐに動かない。
何を優先してるんだ。
現場の評価か?
会社の立場か?
ふざけんな。
そう思った。
この会社は、表面だけだった。
中身は、真っ黒だった。
もう無理だ。
ここにはいられない。
次の会社を探しながら働いて、見つかったタイミングで辞めた。
でも、最後に意味のわからないことが起きた。
辞めたあと、10万円の請求がきた。
理由はわからない。
もう、どうでもよかった。
ただ一つ、はっきりしたことがある。
ここも違った。
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【第8話】本当にすごい会社で見た現実|自由を作り続ける男の記録

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【第0話】現場で倒れて、独立を諦めました|それでも今、こう考えています


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