【第8話】本当にすごい会社で見た現実|自由を作り続ける男の記録

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次に見つけたのは、自分が調べた中で一番大きい型枠の会社だった。

スーパーゼネコンの専属。

規模も、実績も、トップクラス。

「ここに行けば、全部わかる」

そう思った。

その日の仕事が終わったあと、すぐに電話をした。

突然の連絡だったけど、話を聞いてくれた。

状況も、自分の考えも全部伝えた。

すると言われた。

「今すぐ事務所に来れる?」

僕は迷わず答えた。

「今すぐ行きます」

事務所に着くと、想像していたよりもずっと大きかった。

組合のような雰囲気で、正直入るのに少し勇気がいった。

中に入ると、すぐ社長室に通された。

ソファーに座った瞬間――

6人に囲まれた。

会長、社長、職員たち。

まるで取り調べのようだった。

これまでのことを全部話した。

そして、自分が知りたいことも伝えた。

「最高クラスの型枠大工はどんな人なのか」

「どれくらい稼げるのか」

「その人生は楽しいのか」

話を聞いたあと、

「来月から来ていいよ」

そう言われた。

こうして、働くことになった。

このあと、人生で一番きつい日々が始まるとも知らずに。

配属されたのは、その会社でも一番腕のあるグループだった。

現場に行って、挨拶をした。

「今日からよろしくお願いします」

仕事が始まった。

内容は同じ型枠。

問題なくできた。

給料はまだ決まっていなかったけど、

「ここならどれくらいの価値がつくのか」

少し楽しみでもあった。

でも、すぐに違和感に気づいた。

このグループ、休憩しない。

現場の空気も、ずっと張り詰めている。

夕方5時。

ようやく終わりかと思ったとき、

親方に言われた。

「今日はもう上がっていいよ」

え?

5時で終わりじゃないのか?

意味がわからなかった。

次の日。

朝7時に現場に着いた。

でも、誰もいない。

「え?」

と思った次の瞬間、

もう仕事が始まっていた。

サービスの早出だった。

お金は出ない。

そのあと朝礼が始まった。

ラジオ体操が終わって整列した瞬間――

一番若い職人が、親方にヘルメットごと頭を叩かれた。

すごい勢いで怒鳴られていた。

みんなの前で。

理由は、体操のときに広がっていたから。

そこまでやるのか。

そう思った。

胸が苦しかった。

仕事が始まっても、休憩はない。

休憩すること自体に、罪の意識があるような空気だった。

昼も、食べたらすぐ現場に戻る。

座ることすらできない。

5時になっても終わらない。

残業は当たり前。

毎日19時前後まで続いた。

通勤もきつかった。

電車で2時間、歩いて30分。

往復で5時間。

交通費は1日2600円。

通うだけで消耗していく。

そんな毎日が続いた。

まるで修行だった。

ふと、思った。

「自分、何してるんだろう」

疲れすぎて、笑ってしまった。

確かに、仕事は早い。

でも、それは――

恐怖で人を動かしているだけだった。

無理やりやらせる。

支配する。

職人というより、奴隷のように見えた。

ある日、18時半に仕事が終わった。

やっと帰れると思った。

でも親方が言った。

「休憩所、汚いと思わないか?」

そこから、全員で掃除が始まった。

他の業者の分まで。

「なんなんだ、ここは」

そう思った。

1ヶ月後、給料が決まった。

一人前の最高金額。

さらに、残業代もつく。

間違いなく、今までで一番稼げる環境だった。

でも――

思った。

「ふざけんな」

こんな働き方で稼いでも、意味がない。

ここにいたら、壊れる。

僕は、そのグループを離れることにした。


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