【第9話】じゃあ自分は何をするのか|自由を作り続ける男の記録

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僕は、その会社の中でもナンバー2のグループに移動した。

現場に行くと、親方はいなかった。

別の現場に行っているらしい。

代わりに職長をやっていたのは、25歳の若い職人だった。

周りには、親方クラスの人もいる。

でも誰もやろうとしない。

その結果、経験の浅い25歳がやることになっていた。

見ていて、無理があるのはすぐにわかった。

それでも、その子は必死にやっていた。

僕が入って1ヶ月くらい経った頃だった。

その子は、来なくなった。

またかよ、と思った。

理由を聞くと、結婚して子供もいて、無理をしすぎたらしい。

限界だったんだと思う。

僕は、その子が壊れる前から、少しずつ話をしていた。

苦しそうなのがわかっていたから。

できるだけ、力になろうと思っていた。

でも、止めることはできなかった。

1ヶ月後、新年会でその子と会った。

少し話をした。

そのとき言われた。

「もっと早く会いたかったです」

その一言が、ずっと残った。

あのとき、その子は不安でいっぱいだった。

誰かに話を聞いてほしかった。

わかってほしかった。

でも、言えなかった。

無理して、耐えて、壊れた。

そのあとに、僕と出会った。

タイミングが遅かった。

それだけだった。

このとき、はっきり思った。

「こういう人を助けたい」

今まで、何人も見てきた。

うつになった人。

壊れていく人。

我慢しすぎて動けなくなる人。

自分の前で、6人。

もう偶然じゃないと思った。

みんな、頑張りすぎていた。

本当は、もっと楽に生きていいはずなのに。

人間に生まれてきて、幸せになるために生きてるはずなのに。

なのに、我慢ばかりしている。

おかしいだろ。

そう思った。

そのとき、なんとなくわかった。

自分がやるべきこと。

それは――

「人を助けること」

仕事じゃなくていい。

肩書きもいらない。

ただ、苦しんでる人の力になりたい。

そう思った。

でも、そのときの僕は――

自分のことでいっぱいいっぱいだった。

頭がおかしくなったみたいに、体が動かなくなった。

何日か休んで、なんとか戻った。

でも、何も考えられなかった。

そんな状態で仕事をしていたある日。

朝、トイレに行って振り返ったとき――

そこにいたのは、

昔、一緒にやっていた最初の会社のメンバーだった。

全然違う会社なのに。

たまたま応援で来ていたらしい。

「元気してるか?」

そう声をかけられた瞬間――

涙が出た。

理由はわからない。

ただ、安心した。

その日、久しぶりに一緒に仕事をした。

自然だった。

無理がなかった。

「ああ、これだ」

そう思った。

これは偶然じゃない。

そう感じた。

迎えに来てくれたんだと思った。

僕は、戻ることにした。

いろんな会社を見てきた。

いろんな人に出会ってきた。

たくさん苦しんでる人を見てきた。

そして、自分も壊れかけた。

その中で、やっとわかった。

自分はどう生きたいのか。

これからは――

ちゃんと自分と向き合って、

人の役に立てることを形にしていく。

そう決めた。


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