【第2話】20歳、突然の職長|自由を作り続ける男の記録

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3年が経った頃、現場で大きな出来事が起きた。

12階建てマンションの8階を施工しているとき、
親方が突然倒れた。

ヘルニアで入院。
復帰の目処は立たない。

「明日からどうなるんだ…」

不安しかなかった。

その日のうちに、一次会社の社長から電話がきた。

「親方しばらく無理みたいだから、誰か職長やってくれないかな?」

僕たちは6人のチーム。
全員ベテランで、僕が一番下っ端だった。

親方クラスが2人。
5歳上の先輩が2人。

でも――

誰もやらなかった。

現場は途中。
止めるわけにはいかない。

でも、引っ張る人もいない。

どうする?

やるなら――自分しかいない。

僕は言った。

「僕がやります。資格もないのに、できるんですか?」

「大丈夫。やりながら取ればいい」

その一言で決まった。

そこから生活は一変した。

平日は現場を仕切る。
指示を出す。
工程を組む。
打ち合わせに出る。

休みの日は資格の勉強。

正直、地獄だった。

下っ端の自分が、ベテランに指示を出す。

言うことを聞いてもらえない。
無視される。
違うことを始められる。

バカにもされた。

打ち合わせでは必ず聞かれる。

「いつ終わるの?」

まだ分からない。
でも答えなきゃいけない。

決めた工程通りに進まない。
それでも責任は全部こっちにくる。

逃げたくなった。

何度も思った。

でも、逃げられなかった。

なんとか最後までやりきった。

12階のマンションは無事に終わった。

でも――

これで終わりじゃなかった。

親方は復帰したけど、
現場を途中で抜けることが増えた。

「後はお前がやれ」

そう言われることが当たり前になっていった。


気づけば、
僕が職長をやるのが普通になっていた。

このとき、20歳。

ここから先、
想像していなかった働き方が始まる。


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