はじめに
型枠工事と一言で言っても、その中身は非常に奥深く、多くの種類があります。
建物の構造によって、使う型枠の形も施工方法も変わります。
この記事では、現場でよく使われる「立ち上がり」「梁」「スラブ」など、主要な型枠の種類とそれぞれの特徴についてわかりやすく紹介します。
型枠の基本構成
まず、どの型枠にも共通して言えるのは、「コンクリートの形を作るための囲い」ということ。
型枠は主に以下の部材で構成されます:
• 型枠用合板(コンパネ・ベニヤ・パネコート):コンクリートと直接接する面
• 桟木・根太・大引:型枠用合板を支える骨組み
• セパレーター・フォームタイ:型枠の幅を保つ部材
• 金物(単管・クランプ・サポートなど):型枠の固定・補強
この基本構成をベースに、用途ごとの型枠が変化していきます。
型枠の種類と特徴
1. 立ち上がり(壁柱)型枠
特徴:
• 一般的な型枠(縦方向)
• 主に「壁」や「柱」
• 水平・直角を正確に出す必要あり
使用する型枠材:
• 木製型枠(コンパネ+桟木)
• 内外にセパレーター(フォームタイ)を設置
ポイント:
• 高さがあると側圧も強くなるのでセパのピッチを細かくする必要あり
2. 開口型枠
特徴:
• 出入り口や窓になる部分
• 開口に欠き込みが入ることがある
•サッシを取り付けるための金物(サッシアンカー)を付ける
使用する型枠材:
• コンパネ+桟木
• 内外にセパレーター(フォームタイ)を設置
ポイント:
• サッシが収まらない場合があるので高さ幅を確認すること
3. 梁型枠
特徴:
• 建物の上部構造に使う**梁(はり)**の型枠• 型枠工事の中でも難易度が高い部分
使用する型枠材:
• 梁側:コンパネ+桟木•+内外にセパレーター(フォームタイ)を設置
• 梁底:支保工(サポートや足場材で支える)
ポイント:
• 高所作業での施工が多く、安全対策が必須
• 垂直・水平だけでなく、たわみ(たるみ)防止も重要
4. スラブ型枠(床型枠)
特徴:
• 建物の床部分を形成する型枠
• 支保工で支える「下から支える型枠」の代表格
使用する型枠材:
• コンパネ、パイプサポート、サポー根太(ころがしパイプ)、大引(バタ角やかく)
ポイント:
• スラブ厚やスパンによって、支保工の本数と配置が決まる
• 1人作業は危険なので2人以上で作業すること
5. 特殊型枠(樹脂型枠とアール型枠)
[カタパネル(樹脂型枠)]
特徴:
• 樹脂でできている
• サイズ1800×600
・軽くて転用回数が木製パネルより使える
使用する型枠材:
• 専用の連結金具(釘がきかないので)
• 補助型枠(別で作らなければならない)
ポイント:
• サイズが600×1800なので足りない部分は作らなければならない
• 叩くと割れるので注意
・チェーンで引っ張りたいとき、ききが悪い
[アール型枠]
特徴:
丸柱やバンクスラブなど、アールに特殊加工した型枠合板とその形に合わせた桟木の代わりとなるベニアのようなものを合わせてアール型枠を作る
型枠大工さんは特殊加工ができないので
専門の加工屋さん(三基型枠工業など)に作ってもらいます
ポイント:
・価格が高いので相談すること
・締め付けするときは鉄筋を使います
まとめ
型枠工事は「ただ囲うだけ」の仕事ではありません。
場所に応じた型枠の知識と工夫が、建物の品質に大きな影響を与えます。
立ち上がり、開口、梁、スラブ、…どの型枠にもそれぞれの特徴と難しさがあるからこそ、型枠大工の腕が試されるのです。
これから型枠を学ぶ人も、ベテランの方も、改めて基本に立ち返るきっかけになればうれしいです。
コメント